乗馬の基本「輪乗り(わのり)」とは?効果・乗り方・注意点を解説
輪乗り(わのり)とは?
輪乗り(わのり)とは、乗馬において馬場の中にきれいな円(サークル)を描くように馬を誘導して走らせる基本的な運動図形(フィギュア)の一つです。英語では「サークル(Circle)」と呼ばれます。
一般的には直径20メートルの円を描く運動を指し、常歩(なみあし)、速歩(はやあし)、駆歩(かけあし)といったすべての歩法で実施されます。一見すると「ただ円を描いて回るだけ」のシンプルな運動に見えますが、馬のバランスを整え、騎手(ライダー)の指示に正確に従わせるための重要な基本技術が凝縮されています。
輪乗り(わのり)の歴史と背景
輪乗りの起源は、古代ギリシャの軍事馬術にまで遡ります。「馬術の父」と称される哲学者クセノフォンが記した書物にも、馬の柔軟性と敏捷性を高めるために円を描いて運動させる重要性が説かれています。
中世から近代にかけて、ヨーロッパの騎士や軍馬の調教(ドレッサージュ)において、狭い戦場でも自在に旋回できるよう馬の体を柔軟にするトレーニングとして確立されました。馬は本来、直進するよりも曲がることのほうが筋力やバランスを必要とします。そのため、現代の馬術教育においても、輪乗りは馬のウォーミングアップや基礎体力を養う不可欠なステップとして受け継がれています。
輪乗り(わのり)の3つの特徴
輪乗りには、馬と乗り手の双方にとって多くのメリットと明確な特徴があります。代表的な3つのポイントを見ていきましょう。
- 特徴1:馬の柔軟性とバランスを養う「内方姿勢」の基礎になる
円の内側に向かって馬の体を軽く湾曲させる「内方姿勢(ないほうしせい)」を作ります。これにより、馬の内側の後肢がしっかりとお腹の下へ踏み込み、体の柔軟性とバランスが向上します。 - 特徴2:人馬のコミュニケーション(扶助の連携)を深める
輪乗りを正確に行うには、内側の手綱を引くだけでは曲がれません。内側の脚(きゃく)で馬を外へ押し出しつつ、外側の手綱と脚で円の大きさを維持するという、複数の扶助(指示)をバランスよく組み合わせる技術が身につきます。 - 特徴3:ペースと推進力のコントロールがしやすい
円を描き続けることで、馬がスピードを出しすぎて暴走するのを抑えやすくなります。同時に、適度なカーブによって後肢に体重が乗るため、力強い推進力を維持しながら安定したリズムを保つ練習になります。
輪乗り(わのり)に関連する豆知識・注意点
【豆知識:「巻き乗り」との違い】
輪乗りと似た用語に「巻き乗り(ボルト)」があります。一般的に直径20m以上の円を「輪乗り」と呼ぶのに対し、直径10m以下の小さな円を描く運動を「巻き乗り」と呼びます。輪乗りよりもさらに高度な柔軟性と収縮が求められるため、まずは正しい輪乗りをマスターすることが前提となります。
【騎乗時の注意点:卵形や四角形になりやすい】
初心者が輪乗りを行う際、よくある失敗が「円ではなく卵形や四角形になってしまう」ことです。馬は遠心力やサボり癖で外側に逃げようとしたり、逆に内側にショートカットしようとしたりします。
これを防ぐコツは、「視線を常に円の4分の1先(次の通過点)へ向けること」と、「馬場の基準点(アルファベットの看板や蹄跡)を意識して4つの均等な接点を通ること」です。内方の手綱を引きすぎず、外側の手綱で壁を作って馬の肩が逃げないように支えましょう。
まとめ
輪乗り(わのり)は、直径20メートルの円を描きながら馬の柔軟性・推進力・従順性を引き出す、馬術のすべての基礎が詰まった重要運動です。
きれいな正円を描く感覚を磨くことは、初心者から上級者まで生涯役立つスキルとなります。日頃のレッスンでも円の形や馬の姿勢を意識して取り組み、人馬一体の美しいサークルを目指しましょう。

